フローリングの上で、犬が走り出すと足がすべってうまく進めない。年をとってから、立ち上がるときにふらつくようになった。そんな様子を見て、床の滑りやすさが気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ペットの滑り止めの方法を、マット・タイルカーペット、床用コーティング剤(ワックス)、足裏のお手入れなど方法別に整理しました。滑りやすい床が体に与える影響についての研究、シニア期の注意点、賃貸でできる対策、選ぶときの注意点もまとめています。

うちの犬、フローリングでよく足がすべっているんです。何から始めればいいですか?
- 滑りやすい床がペットの体に与える影響
- 滑り止めの方法と特徴
- 方法を選ぶポイント
- シニア期・子犬期の注意点
- 賃貸でもできる対策
結論:よく歩く場所から「床を変える」+「足裏を整える」の2本立てで対策する
結論:マットやコーティングで床を滑りにくくし、足裏の毛と爪のお手入れも合わせて行う
滑り止め対策は、床を滑りにくくすることと、足裏を滑りにくい状態に保つことの2つを組み合わせるのが基本です。まずは、ペットがよく歩く通り道、ソファやベッドの乗り降りをする場所、ごはんや水を飲む場所など、よく使う場所から始めましょう。
足裏の毛が肉球にかぶさるほど伸びると、踏ん張りがきかなくなり、膝の関節を痛めてしまうことがあるとされています(出典:Precious.jp(ペットショップ店長への取材))。床の対策と一緒に、足裏のお手入れも見直しましょう。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| マット・タイルカーペット | 敷くだけで始められる。汚れた部分だけ外して洗えるタイプもある | 賃貸、まずは手軽に試したい |
| 床用コーティング剤(ペット用ワックスなど) | 床そのものを滑りにくくする。見た目が変わりにくい | 持ち家、部屋全体を対策したい |
| 足裏の毛のカット・爪のお手入れ | 肉球で踏ん張れるようにする | どの家庭でも、床の対策とあわせて |
| 滑り止め付きの靴下・靴 | 足に着けて使う | 短時間の補助(慣れが必要) |
※一般的な特徴です。製品の使用上の注意を確認してください。
滑りやすい床がペットの体に与える影響
関西学院大学、株式会社リンレイ、Kyoto AR 動物高度医療センターの共同研究では、フローリングの床に滑り止め床用コーティング剤を塗る前と後で、小型犬の歩き方と筋肉の働きを比べました。その結果、滑りやすい床面では、転んだり姿勢を崩したりしないように余分な筋肉の働きが必要になることが示唆され、特にシニア犬で筋肉の活動量が大きく増えていたと報告されています(出典:関西学院大学 報道資料(2025年12月))。
この研究では、滑りやすい床は関節への負担の増加や転倒のリスクの上昇を引き起こす可能性があるとしています。ただし、被験犬は健康な犬4頭(うち小型犬3頭)と少なく、滑り止め剤のメーカーが参加した研究であることも踏まえて、参考の一つとして受け止めましょう。

滑る床で踏ん張るのは、ぼくたちにとって思った以上に疲れることなんだ。特に年をとってからは、床の対策をしてもらえると助かるよ。
猫は犬に比べて床を走り回る時間は短めですが、キャットタワーや棚から飛び降りたときの着地場所が滑りやすいと、足を取られることがあります。タワーの周りにマットを敷くなど、着地する場所を中心に対策しましょう(キャットタワーの選び方)。
ペットの滑り止め対策|方法別の特徴と選び方
1. マット・タイルカーペット
いちばん手軽に始められる方法です。選ぶときは、裏面に滑り止めがあってずれにくいか、ペットの爪が引っかかりにくい毛足の短いものか、汚れた部分だけ外して洗えるかを確認しましょう。マットの端でつまずかないよう、段差の少ない薄手のものや、すき間なく敷き詰められるタイルタイプが向いています。
2. 床用コーティング剤(ペット用ワックスなど)
床そのものを滑りにくくする方法です。マットを敷かずに済むため、見た目や掃除のしやすさを保てます。使う前に、床材に使えるか、塗ったあとペットを部屋に入れてよくなるまでの時間、塗り直しの目安を確認しましょう。賃貸住宅で使う場合は、事前に管理会社や大家さんに相談しておくと安心です。
3. 足裏の毛のカット
足裏の毛は、肉球にかぶさるほど伸びると踏ん張りがきかなくなります。自宅でカットする場合は、先の丸いはさみを使い、落ちてもけがをしない高さで、少しずつ切るのがポイントとされています。一度に全部終わらせず、今日は前足、明日は後ろ足というように分けて行ってもよいでしょう(出典:Precious.jp(ペットショップ店長への取材))。難しい場合は、トリミングサロンや動物病院に相談しましょう。
4. 爪のお手入れ
爪が伸びすぎると、歩くときに肉球がしっかり床につかず、すべりやすくなります。歩いたときに床に当たる音が「カチカチ」と目立つようなら、爪切りのタイミングです。爪切りが難しいときは、動物病院やトリミングサロンにお願いしましょう。
5. 滑り止め付きの靴下・靴
足に着けて滑りにくくする方法です。嫌がるペットも多いため、短い時間から慣らし、蒸れや脱げかけに注意しましょう。長時間はかせたままにせず、補助的な方法として考えるのがおすすめです。

シニア期・子犬期に気をつけたいこと
シニア期
年をとると筋力が落ち、立ち上がりや方向転換のときにふらつきやすくなります。先の研究でも、特にシニア犬で滑りやすい床での筋肉の活動量の増加が確認されています(出典:関西学院大学 報道資料)。寝床の周りや、立ち上がることの多い場所から優先して対策しましょう。ソファやベッドへの飛び乗り・飛び降りには、スロープやステップを置く方法もあります。
子犬期
子犬は興奮して走り回ることが多く、滑りやすい床で勢いよく方向を変えると転びやすくなります。遊ぶ場所にはマットを敷き、サークルの中の床も滑りにくくしておきましょう(犬用ケージ・サークルの選び方)。
滑り止め対策を始めたい人
- フローリングで足がすべる様子がある
- シニア期に入り、立ち上がりがゆっくりになった
- 子犬が室内で走り回る
- 猫がタワーから飛び降りる場所が気になる
先に受診を考えたい人
- 歩き方の異常や痛がる様子がある(先に動物病院へ)
足を引きずる、歩き方がおかしい、触ると痛がるなどの様子があれば、滑り止めの対策だけで様子を見ず、動物病院に相談してください。
賃貸でもできる対策と、選ぶときの注意点
- まずは置くだけのマットから:タイルカーペットやジョイントマットなら、退去時に外せる
- 床に跡が残らないか確認する:吸着タイプのマットは、床材によって跡が残ることがある。目立たない場所で試す
- コーティング剤は管理会社に相談:床に塗るものは、使ってよいか事前に確認する
- マットの洗いやすさ:トイレの失敗や吐き戻しに備え、部分的に外して洗えるものを選ぶ
- かじる・掘る癖がないか:マットをかじる場合は、誤飲を防ぐため素材を見直す

マットを敷いたら、犬が端をかじり始めてしまいました……。

かじった破片を飲み込むと危ないから、かじれないように端をテープで留めたり、かじりにくい素材に替えたりしてね。
よくある質問
部屋全体にマットを敷く必要がありますか?
必ずしも必要ではありません。よく歩く通り道、立ち上がる場所、ソファの乗り降りの場所など、よく使う場所から始めましょう。
猫にも滑り止め対策は必要ですか?
猫は高い所から飛び降りることが多いため、キャットタワーや棚の着地場所にマットを敷くと安心です。シニア猫は、段差を減らす工夫もあわせて考えましょう。
足裏の毛はどのくらいの長さで切ればいいですか?
肉球にかぶさらない程度が目安です。先の丸いはさみで少しずつ切り、難しい場合はトリミングサロンや動物病院に相談しましょう。
人用のワックスを使ってもいいですか?
ワックスの種類によっては、かえって滑りやすくなることがあります。ペットのいる家庭向けの製品かどうか、床材に使えるかを確認してから使いましょう。
滑り止めの靴下を嫌がります。
無理にはかせる必要はありません。マットや床用コーティング剤、足裏のお手入れなど、ほかの方法を組み合わせましょう。
参考・出典
- 関西学院大学 報道資料「『滑り止め床用コーティング剤』が小型犬の歩行に与える影響を筋骨格解析で評価」(2025年12月10日)(確認日:2026年10月3日)
- Precious.jp「自宅で愛犬の毛のトリミングをする際に注意したい3つのこと」(確認日:2026年10月3日)
まとめ
- 滑り止めは「床を滑りにくくする」と「足裏を整える」の2本立てで考える
- まずはよく歩く通り道、立ち上がる場所、ソファの乗り降りの場所から
- マットはずれにくく洗えるもの、コーティング剤は床材に使えるかを確認する
- 足裏の毛が肉球にかぶさると踏ん張りがきかない。先の丸いはさみで少しずつ切る
- シニア期は特に対策を。歩き方の異常があれば先に動物病院へ
毎日歩く床を少し見直すだけで、ペットが安心して動ける住まいに近づきます。
